2016228日(日) 8:45〜12:40
 
8:15〜8:45 Breakfast
 
8:45〜9:45

Section 4 アンチエイジング

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授

 
腸内細菌と眼疾患

坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授

Profile1980年慶應義塾大学医学部卒業。83年国立栃木病院眼科医長。85年ハーバード大学留学、87年同大学角膜クリニカルフェローシップ修了。国立栃木病院眼科医長、東京歯科大学教授等を経て、04年より現職。日本抗加齢医学会理事長、日本白内障屈折矯正手術学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼科学会評議員、日本角膜学会理事、日本再生医療学会理事、ドライアイ研究会世話人代表など。

ヒトの体に寄生する細菌は細胞数ではヒトの細胞の10倍、遺伝子数でいえば100倍と言われる。これらマイクロバイオームが我々の健康、長寿を規定していると考えても不思議ではない。さまざまなエビデンスにより腸内細菌の悪化により病気が起こり、また腸内細菌を改善することによって健康にプラスになることがわかっている。腸内細菌と眼疾患の関係は最近急激に注目されている新しい分野である。一方、ドライアイは慢性の涙液の疾患であり近年急激に増加しているが、基本の治療は点眼や涙点プラグ、保護用眼鏡であり、根本的な治療法が存在しない。今回まったくあらたに腸内細菌に注目したドライアイサプリメントの開発がなされた。本講演では本サプリメントをひとつの例に、いかに腸内細菌と眼疾患が関係しているか講演したい。

 
眼瞼下垂手術に関わるアンチエイジング

宇津木 龍一
クリニック宇津木流 院長

Profile1980年北里大学医学部卒業、同大学形成外科教室入局、90年同大学形成外科講師。90〜92年テキサス大学サウスウエスタン医科大外科(Cell Biology)Research fellow、92〜94年ペンシルバニア大学形成外科Research fellow、94〜96年同大学Adjunct assistant professor、95年北里研究所病院形成外科・美容外科創設。99年アンチエイジング専門施設、北里研究所病院美容医学センター創設、2007年アンチエイジング専門の形成外科、クリニック宇津木流開設。現在に至る。

腱膜性眼瞼下垂は、身体の中で最も早く現れる老化症状の一つである。一般に35歳頃からすでに挙筋の脂肪変性や機能低下などの症状が現れ、55歳頃にはほとんどの人の眼瞼挙筋機能は50%以下に低下する。挙筋機能低下は、単に目が開き難くなるというだけではなく、頭痛、肩こり、うつ病などの不定愁訴を引き起こすことが信州大学形成外科松尾らの研究で知られている。また、我々は、顔のしわ、たるみなどの老化変化が挙筋機能低下をきっかけとして、ドミノ倒しのように次々引き起こされていくメカニズムを解明し、効果的なしわ治療に役立てている。眼瞼下垂症は多くの諸問題を合併する老化の主役であるという認識を基に、我々が現在行っているアンチエイジングについて紹介させていただきます。

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9:45〜10:45 Section 5 神経眼科・眼腫瘍

座 長 後藤 浩
東京医科大学臨床医学系眼科学分野 主任教授
 

新しい視神経疾患の診断と治療

三村 治
兵庫医科大学眼科学講座 主任教授

Profile1975年大阪医科大学医学科卒業、同年兵庫医科大学病院研修医(眼科学)。82年兵庫医科大学大学院修了、医学博士号取得。83年兵庫医科大学眼科講師、89年兵庫医科大学眼科助教授。95年ドイツSaarland大学眼科客員教授(〜96年)。98年11月〜兵庫医科大学眼科主任教授。現在に至る。2008年〜学校法人兵庫医科大学評議員、09年〜学校法人兵庫医科大学常勤理事、13年〜兵庫医科大学副学長。

これまで視力が不良で対光反射が良ければLeber遺伝性視神経症か心因性視力障害をまず考えてきた。しかし、優性遺伝性視神経症やエタンブトール視神経症でも対光反射は意外に良好である。そこで最近ミトコンドリア視神経症(MON)という概念が提唱されている。また、SD−OCTの登場により視神経疾患では網膜神経節細胞複合体(GCC)厚が、乳頭周囲神経線維層厚(cpRNFL)以上に病態や予後を反映する手段と考えられつつある。本講演ではMONの代表的な疾患の診断と治療や、OCTのGCC厚や静的視野の測定結果での垂直経線・水平経線の考え方について講演する。本講演を聴けば明日から視神経疾患のGCC厚を撮りたくなる講演を予定している。

 

知っていて欲しいIgG4関連眼疾患

後藤 浩
東京医科大学臨床医学系眼科学分野 主任教授

Profile1984年東京医科大学卒業、眼科学教室入局。87年同大学眼科学教室助手。88年国立感染症研究所研究員、南カルフォルニア大学眼科ドヘニー眼研究所研究員。93年東京医科大学眼科講師、2002年同大学眼科助教授、06年同大学眼科教授、07年同大学眼科主任教授。現在に至る。2009年東京医科大学病院副院長(〜2011年8月)。2013年東京医科大学学生部長。日本眼炎症学会理事長。

IgG4関連疾患とは、全身の様々な臓器に免疫染色でIgG4陽性となるリンパ形質細胞の浸潤を伴う、腫大、腫瘤、肥厚性の病変を生じる疾患です。眼科領域では古くからミクリッツ病として知られる両側涙腺と唾液腺の対称性腫脹を呈する症例が相当するほか、最近では眼窩や眼瞼、視神経周囲などに病巣を形成し、多彩な臨床症状を生じることが明らかにされ、眼症状を対象とした診断基準も確立されています。講演では日常診療でもいつの日か必ず遭遇するであろう、このIgG4関連眼疾患の診断とともに、ステロイドを中心とした治療についてコンパクトに紹介したいと思います。

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10:45〜11:00 Break Time
 
11:00〜11:30 Section 6 屈折矯正

座 長 常岡 寛
東京慈恵会医科大学眼科学教室 主任教授
 

LASIKの現況

ビッセン宮島弘子
東京歯科大学水道橋病院眼科 教授

Profile1981年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。84年ドイツ ボン大学眼科助手。87年慶應義塾大学医学部眼科学教室助手。89年国立埼玉病院眼科医長、95年東京歯科大学市川総合病院眼科講師、慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤講師。2000年東京歯科大学水道橋病院眼科助教授、03年東京歯科大学水道橋病院眼科教授、現在に至る。

LASIK (laser in situ keratomileusis)は術前検査から術後経過観察まで基準に沿って行えば、裸眼視力を向上させる安全かつ有効性の高い手術である。しかし、衛生面で問題があった施設における集団感染、患者とのコミュニケーションに問題があった施設に多かった不具合例の報道によって、LASIKは危険な手術に一転してしまった。残念なことに、患者のみならず眼科関連のウェブサイトでもLASIKは合併症が多い手術で気をつけて受けるようにという勧告が見受けられ、希望する患者数は激減した。今回、LASIKがどのような手術かをもう一回見直し、JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)が行ったアンケート調査で明らかになった日本における症例数、そして合併症がいかに少ないかを認識していただき、現況のみならず将来についても一緒に考えてみたい。

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11:30〜12:30 Special Lecture 3

座 長 後藤 浩
東京医科大学臨床医学系眼科学分野 主任教授
 

緑内障薬物治療 update

相原 一
東京大学医学部眼科学教室 教授

Profile1989年東京大学医学部医学科卒業、98年東京大学大学院生化学細胞情報部門卒業医学博士、東京大学医学部眼科学教室文部教官助手。2000年カリフォルニア大学サンディエゴ校緑内障センター臨床指導医、01年カリフォルニア大学サンディエゴ校緑内障センター主任研究員。03年東京大学医学部眼科学教室医学部専任講師、12年東京大学医学部眼科学教室准教授。12年四谷しらと眼科副院長、14年東京医科歯科大学特任教授兼任。15年東京大学医学部眼科学教室教授。現在に至る。

眼圧下降効果のある点眼薬の長い歴史にもかかわらず、緑内障性視神経症の視野進行抑制には眼圧下降治療が有効であることが実際に証明されたのは、2000年代当初に発表された海外のいくつかの大規模多施設試験によるもので意外と歴史は浅いものである。しかもそれらの試験に使用された眼圧下降治療はβ遮断薬や手術療法を組み合わせたものが中心であり、実は現在第一選択薬になっているPG関連薬を使用したものではない。PG関連薬はその有効性から現在4薬剤が開発され、β遮断薬との配合剤も認可されて来たが、昨年漸くその眼圧下降効果による視野進行抑制効果も発表された。眼圧を下げると言っても、現在8種類ほどの眼圧下降薬が存在し、それぞれ作用点も副作用もまた下げるタイミングも異なるため、各薬剤に精通して適切な点眼指導を行うことが求められる。特に慢性疾患で生涯点眼し続ける可能性がある点眼治療は、アドヒアランスを保つために、多くの視点から薬剤を選択して、患者を見つめる必要がある。今回は、新規のRock阻害薬も含め点眼薬の眼圧下降効果、副作用を整理して、配合剤も含め、適切な治療が行えるような情報を提供したい。

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12:30〜12:40 Closing Remarks

村上 晶
順天堂大学医学部眼科 教授

 
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