Section 4 アンチエイジング
座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授
腸内細菌と眼疾患
坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授
Profile◆1980年慶應義塾大学医学部卒業。83年国立栃木病院眼科医長。85年ハーバード大学留学、87年同大学角膜クリニカルフェローシップ修了。国立栃木病院眼科医長、東京歯科大学教授等を経て、04年より現職。日本抗加齢医学会理事長、日本白内障屈折矯正手術学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼科学会評議員、日本角膜学会理事、日本再生医療学会理事、ドライアイ研究会世話人代表など。
ヒトの体に寄生する細菌は細胞数ではヒトの細胞の10倍、遺伝子数でいえば100倍と言われる。これらマイクロバイオームが我々の健康、長寿を規定していると考えても不思議ではない。さまざまなエビデンスにより腸内細菌の悪化により病気が起こり、また腸内細菌を改善することによって健康にプラスになることがわかっている。腸内細菌と眼疾患の関係は最近急激に注目されている新しい分野である。一方、ドライアイは慢性の涙液の疾患であり近年急激に増加しているが、基本の治療は点眼や涙点プラグ、保護用眼鏡であり、根本的な治療法が存在しない。今回まったくあらたに腸内細菌に注目したドライアイサプリメントの開発がなされた。本講演では本サプリメントをひとつの例に、いかに腸内細菌と眼疾患が関係しているか講演したい。
眼瞼下垂手術に関わるアンチエイジング
宇津木 龍一
クリニック宇津木流 院長
Profile◆1980年北里大学医学部卒業、同大学形成外科教室入局、90年同大学形成外科講師。90〜92年テキサス大学サウスウエスタン医科大外科(Cell Biology)Research fellow、92〜94年ペンシルバニア大学形成外科Research fellow、94〜96年同大学Adjunct assistant professor、95年北里研究所病院形成外科・美容外科創設。99年アンチエイジング専門施設、北里研究所病院美容医学センター創設、2007年アンチエイジング専門の形成外科、クリニック宇津木流開設。現在に至る。
腱膜性眼瞼下垂は、身体の中で最も早く現れる老化症状の一つである。一般に35歳頃からすでに挙筋の脂肪変性や機能低下などの症状が現れ、55歳頃にはほとんどの人の眼瞼挙筋機能は50%以下に低下する。挙筋機能低下は、単に目が開き難くなるというだけではなく、頭痛、肩こり、うつ病などの不定愁訴を引き起こすことが信州大学形成外科松尾らの研究で知られている。また、我々は、顔のしわ、たるみなどの老化変化が挙筋機能低下をきっかけとして、ドミノ倒しのように次々引き起こされていくメカニズムを解明し、効果的なしわ治療に役立てている。眼瞼下垂症は多くの諸問題を合併する老化の主役であるという認識を基に、我々が現在行っているアンチエイジングについて紹介させていただきます。 |