200921日(日) 8:30-12:25
 
8:30-9:00 Section 4

コンタクトレンズによる眼障害を
どうしたら減らせるか

村上  晶
順天堂大学 医学部 眼科 教授

 コンタクトレンズと関連する眼障害の予防と治療は、眼科診療のなかでも大切な位置をしめている。最近の日本コンタクトレンズ学会と日本眼感染症学会の合同調査中間報告では、重症の眼障害をきたした症例ではコンタクトレンズとレンズケアが適切に行われていない症例が多く、コンタクトレンズの使用期間や定期検査間隔も正しく守られていない例もが多いことが示されている。しかし、レンズユーザーの自己責任では済ませられない問題も実際には多くあると考えられる。安心してコンタクトレンズを使用してもらうために、正しいレンズケア、正しい使用法、そして定期検査の励行の必要性をどのように伝えていったらよいか。日常の社会生活の中に普及し定着している、医療器具をどうあつかっていくべきかという視点をもって検討したい。
 

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9:00-10:00 Section 5

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学 医学部 眼科学教室 教授
 

1. 新しいドライアイの診断基準と治療

後藤 英樹
鶴見大学 歯学部 眼科学教室 准教授

 ドライアイの定義と診断基準はドライアイ研究会により1995年に定められた。すなわち“涙液(層)の質的または量的な異常により引き起こされた角結膜上皮障害”と定義されてきた。その後、この10年でドライアイに関する診断および治療は大きく進歩し、ドライアイの定義と診断基準の見直しが行われ、2006年度版ドライアイの定義と診断基準が発表された。重要な変更点としてはドライアイ症状の有無が盛り込まれたこと、結膜障害の評価がフルオレセインにても可能となったことが挙げられる。ドライアイの治療についても近年大きな進捗が見られ、本講演ではこれらのドライアイ診療の大きな進化を述べてみたい。

Profile1994年、慶應義塾大学医学部卒業、同大学眼科学教室入局。1996年、東京歯科大学市川総合病院眼科勤務。2000年、マイアミ大学バスコムパルマー眼科研究所留学リサーチフェロー(SCG Tseng教授)。2001年、Ocular Surface Research and Education Foundation, Miami, Florida留学(SCG Tseng先生)。2003年、飯田橋眼科クリニック院長。2004年、学位取得(慶應義塾大学医学部)、慶応義塾大学医学部眼科学教室助手、慶應義塾大学医学部眼科学教室専任講師。2006年、鶴見大学歯学部眼科学教室助教授。2007年、同准教授。

 

2. キレーション治療を中心とした
  抗加齢医療の実際

満尾  正
満尾クリニック 院長

 抗加齢医療という言葉も徐々に浸透し、単なる予防医療だけでなく動脈硬化性血管疾患の治療など生活習慣病に併発する様々な疾病の治療に対しても効果があることが認識されつつあります。当院は過去7年余りにわたりキレーション治療や栄養療法を中心とした抗加齢医療を行っています。キレーション治療とはEDTAをビタミン、ミネラルとともに繰り返し点滴する治療法ですが、同時にサプリメントを用いた栄養療法も合わせて行います。サプリメントを用いた栄養療法は内科領域だけでなく様々な疾患に対しても有効であり、眼科領域においてもその効用が認められているものもあります。今回は当院で行っている検査、治療内容、そして具体的な治療効果についてご紹介いたします。

Profile1982年北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを2002年に赤坂に開設。2005年広尾に移転、現在に至る。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医と米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医(APCT)の両資格を併せ持つ唯一の日本人医師。
 

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10:00-11:00 Section 6

座 長 後藤  浩
東京医科大学 眼科学教室 主任教授

Profile1984年東京医科大学卒業眼科学教室入局、1987年東京医科大学眼科学教室 助手、1988年国立感染症研究所研究員、1988年南カルフォルニア大学眼科ドヒニー眼研究所研究員、1993年東京医科大学眼科学教室講師、2002年東京医科大学眼科学教室助教授、2006年東京医科大学眼科学教室教授を経て、2007年東京医科大学眼科学教室主任教授就任。

 

1. 間欠性外斜視

佐藤 美保
浜松医科大学 医学部 眼科学 准教授

 間欠性外斜視は、最も頻度の高い斜視である。特に、欧米人に比べて、東洋人ではるかにその頻度が高い。多くは良好な両眼視機能をがあり、融像が可能なために、手術による治療は容易と考えられやすいるが、実際に治療に取り組んでみると、術後過矯正の遷延や再発、術後複視の出現など問題は少なくない。またV型やA型といったアルファベットパターンや、下斜筋過動、交代性上斜位の合併など、単純に水平方向のずれだけでは解決できない問題も含んでいる。
間欠性外斜視の疫学、診断、検査方法、治療、治療成績などについて実際の症例を示しながら解説する。

Profile1986年、名古屋大学医学部卒業。1992年、名古屋大学医学部大学院外科系眼科学満了、学位取得(小児の視力の発達と屈折変化)。1993年、名古屋大学眼科学助手。1993年9月〜1995年3月、米国Indiana 大学小児眼科斜視部門留学。1997年、名古屋大学眼科学講師。2002年、浜松医科大学医学部眼科学助教授。

 

2. 涙道閉塞の診断と涙道内視鏡を用いた治療

井上  康
医療法人眼科康誠会 井上眼科 院長

 流涙という訴えは眼科外来においてきわめて一般的なものです。涙道閉塞による器質的流涙も少なくはありません。しかし涙道内視鏡導入前は、涙道内を直接観察することができなかった為、正確に涙道閉塞の診断をすることは必ずしも容易ではありませんでした。したがって多くの施設で積極的に治療が行われているとは言い難いのが実情です。今回のセミナーでは一般眼科外来で行うことができる、涙道閉塞の診断のコツについて解説するとともに、最近開発された涙道内視鏡による涙道内部の観察による診断法および涙道内視鏡を用いた涙道再建術について画像供覧する予定です。

Profile1983年、愛媛大学医学部卒業。1987年、岡山大学医学部眼科大学院卒業、玉野市民病院眼科医長に就任。1991年、井上眼科開業。1996年、医療法人井上眼科の理事長に就任。1999年、医療法人眼科康誠会に改組。2006年、香川大学非常勤講師に就任。
 

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11:00-11:15 Refreshment Break
 
 
11:15-12:15 特別講演2 「網膜硝子体」

座 長 常岡  寛
東京慈恵会医科大学 眼科学教室 主任教授
 

網膜硝子体領域における最近の潮流

白神 史雄
香川大学 医学部 眼科学講座 教授

 網膜硝子体領域は、20世紀に目覚しい進歩を遂げたが、どちらかといえば侵襲度の高い治療法や検査法が開発される傾向にあった。一方、21世紀初頭の潮流は、検査、治療いずれにおいても低侵襲化の方向にある。検査においては、高解像度のSD-OCTが発売され、網膜の細かい変化まで捉えることが可能になっている。また第3の眼底検査である眼底自発蛍光が再び見直されている。治療においては、光線力学的療法や抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法といった薬物療法の開発、手術においては極小切開硝子体手術の普及などである。こういった網膜硝子体領域における最近の潮流を紹介する。

Profile1980年、岡山大学医学部卒業。1984年、岡山大学大学院修了、医学博士。1991年、岡山大学医学部附属病院眼科講師。1997年、岡山大学医学部眼科助教授。1998年、文部省長期在外研究員(エモリー大学眼科、客員教授)。2001年、岡山大学大学院医歯学総合研究科 機能制御学講座 眼科学助教授。2002年、香川医科大学 医学部 眼科学講座教授。2003年、香川大学医学部眼科学講座 教授。
 

 
12:15-12:25 Closing remarks 村上  晶
 
 
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