2009131日(土) 15:00-18:55
15:00-15:10 Opening remarks 坪田 一男
 
15:10-16:10 Section 1

座 長 ビッセン宮島弘子
東京歯科大学 水道橋病院 眼科教授

Profile1981年慶應義塾大学医学部卒業、1981年慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。1984年 ドイツ ボン大学眼科助手、1987年 慶應義塾大学医学部眼科学教室助手。1989年国立埼玉病院眼科医長。1995年東京歯科大学市川総合病院眼科講師、慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤講師。2000年東京歯科大学水道橋病院眼科助教授を経て、2003年東京歯科大学水道橋病院眼科教授就任。

 
1. 回折型多焦点眼内レンズをどのように
  使用するか

大木孝太郎
大木眼科 院長

 回折型多焦点眼内レンズは、入射光を遠方と近方の焦点に振り分けるため、構造上は2焦点レンズである。中間距離視力の不良を指摘する意見もあるが、遠近視力を高い確立で担保できるため、挿入後に不満の出にくいレンズであり、患者負担が高額である評価療養や自費診療では非常に使用しやすい。瞳孔径の影響を受けにくいため、広い年齢層に使用が可能であり、屈折型多焦点眼内レンズと比べ、夜間のハローやグレアの訴えは極めて少ない。一方、高周波数域でのコントラスト感度の低下が多くの症例で認められるため、中間視力の問題と合わせて、術前のインフォームドコンセントと患者選択が非常に重要になる。
 回折型多焦点眼内レンズの利点を最大限に活用するためのノウハウについて、当院での経験から解説する。

Profile1979年、東京慈恵会医科大学卒業。1984年、米国イリノイ州立大学留学。1988〜1996年、東京慈恵会医科大学附属栢病院診療科長、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師。1996年、東京慈恵会医科大学眼科学教室非常勤講師、埼玉医科大学眼科学教室非常勤講師、大木眼科院長。2002年、山口大学非常勤講師。2007年、日本医科大学非常勤講師、日本眼内レンズ屈折手術学会常任理事、日本眼科手術学会理事就任。

 
2. 老視における矯正法の選択

前田 直之 
大阪大学大学院 視覚情報制御学寄附講座 教授

 老視は調節力の低下によって生じるものであるが、その調節を確実に回復させる治療がない以上、治療は本来と異なった方法で広い明視域を獲得させており、光学的に不都合な状況が必ず生じる。よって、矯正法の長所・短所を理解して、個々の症例に応じた矯正法を選択する必要がある。本講演では、現時点での老視検査法を紹介し、次いで矯正法の多様性とそれぞれの特徴について解説させて頂く。

Profile1984年、高知医科大学卒業。1984年、大阪大学眼科学教室研修医。1992年、米国ルイジアナ州立大学眼科リサーチフェロー。1995年、大阪大学眼科学教室助手。1999年、大阪大学眼科学教室講師。2001年、大阪大学大学院感覚機能形成学助教授。2004年、大阪大学大学院視覚情報制御学寄附講座教授。
 

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16:10-17:10 Section 2

座 長 常岡  寛
東京慈恵会医科大学 眼科学教室 主任教授

Profile1976年東京慈恵会医科大学卒業。1981年医学博士の学位受領後、1985年国立相模原病院眼科医長、1990年東京慈恵会医科大学眼科学講座講師、1996年東京慈恵会医科大学眼科学講座助教授、2000年東京慈恵会医科大学附属第三病院眼科診療部長を経て、2007年東京慈恵会医科大学眼科学講座主任教授就任。

 
1. 新時代のIOLの選択

宮田 和典
医療法人明和会 宮田眼科病院 院長

 IOLは進化を続けている。これまでのIOLは水晶体を除去することにより失った、球面度数等の機能回復を目指すものであった。一方、最近のIOLの進化の特長は、非球面、多焦点、乱視矯正と従来持っている機能を補正し、術後視機能のさらなる向上を目指すものとなっている。この新時代のIOLを有効に使用するには、その機能の特性を十分に解析、理解することが必要である。そして、これからは、患者側の因子の解析を行い、その上で、個々の患者に合ったIOLの選択をすることが最良の結果をもたらす。それが、新時代のIOLの選択である。

Profile1984年、久留米大学医学部卒業。1984年、東京大学医学部眼科入局。1991年、東京大学医学部眼科講師。1994年、UCSF留学。1997年、医療法人明和会宮田眼科病院副院長。1998年、東京大学医学部眼科非常勤講師。1999年、医療法人明和会宮田眼科病院院長。2000年、宮崎医科大学臨床教授。

 
2. 術後に複視を訴えたら 〜その傾向と対策〜

三村  治
兵庫医科大学 眼科学教室 教授

 白内障手術は現在では全外科手術の半数を超えるごくありふれた手術となっている。しかし、手術が増加するにつれ術後に複視を訴える患者をしばしば経験する。これは術前すでにあった眼位ずれが、視力が大幅に改善することにより複視として自覚されると考えられるが、患者は手術によって発症したと訴えトラブルになることもしばしばである。そこで白内障術後に複視を訴えた自験例25例の原因および治療について述べる。さらに網膜剥離、眼窩整復、角膜移植、角膜切開などの眼科手術の術後に複視を訴えた40例をもとに治療法と成績について述べる。術後複視の大半は消失させることができるが、術前に複視の説明を行うことも重要である。

Profile1975年、大阪医科大学医学科卒業、兵庫医科大学病院研修医(眼科学)。1982年、兵庫医科大学大学院(外科系眼科学)修了、医学博士号取得。1983年、兵庫医科大学眼科講師。1989年、兵庫医科大学眼科助教授。1995年、ドイツSaarland大学眼科客員教授。1997年、日本眼科学会評議員。1998年、兵庫医科大学眼科教授、日本神経眼科学会理事。2000年、日本弱視斜視学会常務理事。2001年、Vice-President of Asia Neuro-Ophthalmology。2002年、日本眼科手術学会理事。2003年、第59回日本弱視斜視学会総会長。
 

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17:10-17:25 Refreshment Break
 
 
17:25-17:55 Section 3

座 長 村上  晶
順天堂大学 医学部 眼科 教授

Profile1981年順天堂大学医学部卒業。1981年順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科臨床研修医、1982年順天堂大学医学部眼科学講座助手。1984年日赤医療センター眼科医員、1986年国立精神神経センター神経研究所流動研究員。1988年米国National Eye Institute留学(研究員)、1989年マイアミ大学医学部眼科留学(客員研究員)。1992年防衛医科大学校眼科講師、2000年順天堂大学医学部眼科講師を経て、2003年1月順天堂大学医学部眼科教授就任。

 
円錐角膜に対する新しい治療法

坪田 一男
慶應義塾大学 医学部 眼科学教室 教授

 円錐角膜は進行性の角膜疾患であり、角膜が薄くなり突出する。初期の乱視はハードコンタクトレンズで矯正可能であるが、進行に伴いハードコンタクトレンズの装用に工夫が必要となる。さらに進行するとコンタクトレンズの装用が困難となり、従来は全層角膜移植が適応となった。しかしながら最近は角膜リング(ICR)、角膜コラーゲンクロスリンキング、乱視矯正Phakic IOLを組み合わせることによって円錐角膜の実用的な視力を得ることができるようになってきた。さらに遠視矯正用として開発されたコンダクティブケラトプラスティー(CK)を工夫して使うことによって突出した角膜を平坦化することが可能となってきた。本講演ではこれら新しい円錐角膜への治療アプローチをお伝えしたい。

Profile1980年慶應義塾大学医学部卒業後、日米の医師免許を取得、1985年米国ハーバード大学に留学、1987年角膜クリニカルフェロー修了。1999年、『The New England Journal of Medicine』の巻頭論文に「角膜上皮のステムセル移植術」が掲載され、世界に先駆けて体細胞ステムセル移植による治療を発表し注目を集める。ドライアイの研究においても高く評価され、各国で講演・指導にあたるほか、国内では、眼科専門医による安全な近視治療、アイバンクの活動にも精力的に取り組む。2001年より、研究と診療にアンチエイジング医学を導入し、その科学的な取り組みに注力。日本抗加齢医学会理事、「アンチエイジング医学」編集委員長を務める。
 

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17:55-18:55 特別講演1 「緑内障」

座 長 ビッセン宮島弘子
東京歯科大学 水道橋病院 眼科教授
 
眼圧変動と緑内障治療

桑山 泰明
大阪厚生年金病院 眼科部長

 緑内障は多因子疾患である。年齢、近視、眼圧、家族歴、糖尿病、角膜厚等々の因子が、緑内障発症あるいは進行のリスクとして報告されている。しかし、これらの中で、我々が治療可能なのは眼圧因子のみである。
 では、眼圧治療の効果をさらに上げるにはどうすればよいか?この点に関して眼圧変動が注目されている。これまで、我々は外来眼圧をもとに治療を行ってきたが、眼圧は常に変動している。そこで、本講演では、眼圧の短期変動や長期変動が緑内障の発症や進行にどのように関与しているかを考察する。まだまだ議論が多い分野であるが、より質の高い眼圧コントロールについて考えてみたい。

Profile1978年、和歌山県立医科大学卒業、大阪大学医学部眼科学教室入局。1983年、米国ペンシルバニア大学シェイエ眼研究所。1986年、大阪大学助手。1988年、大阪大学医学部講師。1992年、大阪厚生年金病院眼科部長。2000年、愛媛大学医学部非常勤講師。2003年、北海道大学医学部非常勤講師。2005年、大阪大学医学部臨床教授。
 

 
19:00- 情報交換会   Opening remarks 後藤 浩
 
 
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