2011227日(日) 8:45〜12:40
 
8:15〜8:45 Breakfast
 
8:45〜9:45 Section 4 アンチエイジング

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室教授

Profile1980年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。1983年国立栃木病院眼科医長。1985年ハーバード大学留学、1987年ハーバード大学角膜クリニカルフェローシップ修了。帰国後再び国立栃木病院眼科医長。1990年東京歯科大学助教授、1998年東京歯科大学教授(眼科学)を経て、2004年慶應義塾大学教授(医学部眼科学教室)。日本眼内レンズ屈折手術学会常任理事、日本抗加齢医学会副理事長、日本再生医療学会理事、日本角膜学会評議員、ドライアイ研究会世話人代表などの要職に就く。

 
1. 眼科医のできる予防医療
   ー老眼対策から水銀排出までー

坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室教授

 疾病に至って初めて治療を開始する“疾病治療戦略”ではコストがかかり、クオリティーオブライフが下がる。
 そこで21世紀の医療として、“疾病予防戦略”が注目されている。
 予防医学にはさまざまなものがあるが、中でも注目されているのが加齢に焦点を絞ったアンチエイジング医学である。本講演では従来は不可能だった老眼(老視)治療から、サプリメント、生活習慣の改善など眼科で今できるアンチエイジング医学について述べる。また古くからある白内障予防薬であるチオプロニンを、体内からの安全な水銀排出に使う方法について述べる予定である。

 
2. アンチエイジング医学へのいざない

川田 浩志 
東海大学医学部血液内科/抗加齢ドック准教授

 今、未曾有の高齢社会となっている日本で、アンチエイジング医学が注目されています。アンチエイジング医学とは、病的な老化の進行や、それによる病気の発症を未然に防いで、人々を健康長寿(サクセスフルエイジング)へ導くことを目的とする新しい予防医学の一分野です。その守備範囲は広く、もちろん眼科とも深い関わりがあります。
 私はいちはやくアンチエイジングを自分自身の生活のなかに取り入れるとともに、有志と活動を展開してアンチエイジング・ドックや、アンチエイジングに関する研究を行うライフケアセンターなどを、大学内に設立しました。
 そこで今回は、最新のアンチエイジング医学の一部をご紹介するとともに、東海大学のアンチエイジング活動や、私の楽しいアンチエイジングライフについてもふれて、皆様をアンチエイジングの世界へとお誘いしたいと思います。

Profile1965年生まれ、医学博士。米国サウスカロライナ州立医科大学ポストドクトラルフェローを経て、現在、東海大学医学部血液内科/抗加齢ドック准教授、東海大学ライフケアセンター副センター長、早稲田大学客員講師、海老名メディカルサポートセンターアンチエイジングドック顧問。内科診療とともに予防医学の推進にも力を入れており、抗加齢(アンチエイジング)ドックで面談医を務めている。日本抗加齢医学会認定専門医・評議員、日本内科学会認定専門医・指導医、日本血液学会認定専門医・指導医・代議員、米国抗加齢医学会・内科学会・血液学会インターナショナルメンバー。
 

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9:45〜10:15 Section 5
眼科医のための目からウロコシリーズ

座 長 後藤 浩
東京医科大学眼科学教室主任教授
 

1. 危機管理

戸塚 伸吉
とつか眼科理事長・昭和大学兼任講師

 小生、眼科診療所を開業して12年経つ。開院当初、医療情勢が今よりは良く、無知と無謀から外来診療を怖いと思うことは少なかったが、最近は、誤投薬で訴えられたらどうしようとか、診療報酬が減り続けて不安に思うことも多い。そこで、1. 診療所にもあるはずの医療安全管理委員会 2. 22年度点数改正による減収危機 3. 待合室の混雑回避 4. スタッフが起こした停電 5. 掲示板の氾濫 6. 唯一眼日帰り手術後の眼帯 7. 医師の健康管理など当院で実施している安全管理の小さな工夫を時間の許す限り紹介し、苦情相談センター(患者が医療機関に対する苦情を相談する愛知県医師会の窓口)での検討事例を提示し危機管理を考えてみたい。

Profile1963年横浜生まれ。昭和大学医学部卒業、横須賀北部共済病院眼科医長、町立浜岡総合病院眼科医長、昭和大学眼科助手などを経て、1998年とつか眼科開設。昭和大学眼科兼任講師、日本眼科学会認定眼科専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本医師会認定産業医である。


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10:15〜11:15 Section 6 白内障治療

座 長 常岡 寛
東京慈恵会医科大学眼科学教室主任教授

Profile1976年東京慈恵会医科大学卒業。1981年医学博士の学位受領後、1985年国立相模原病院眼科医長、1990年東京慈恵会医科大学眼科学講座講師、1996年東京慈恵会医科大学眼科学講座助教授、 2000年東京慈恵会医科大学附属第三病院眼科診療部長を経て2007年東京慈恵会医科大学眼科学講座主任教授就任。

 

1. 間違いだらけの眼内レンズ選び

常岡 寛
東京慈恵会医科大学眼科学教室主任教授

 近視の人ならー3D合わせ、遠方が良く見えるようになりたい人には正視合わせ、メガネをかけたくない人なら多焦点レンズ、網膜色素変性の人なら着色レンズ。白内障手術時の眼内レンズの選択には、ある程度の常識があり、患者さんの希望を配慮しながら最適のレンズを決定することになります。でも、眼内レンズの種類や度数の選択にあたって、その常識を重視しすぎたり、患者の発する希望を尊重しすぎたりすると、患者が思い描いていた術後の見え方と異なり、患者から不満を訴えられることがあります。術前に眼内レンズの特性と限界を十分説明するとともに、患者の生活歴(とくに視生活)と現状、眼の状態を把握した上で、患者の希望をしっかりと聴取し、総合的に判断することが重要です。

 

2. トーリック眼内レンズの現実

根岸 一乃
慶應義塾大学医学部眼科学教室准教授

 トーリック眼内レンズ(IOL)は白内障術後の角膜乱視を補正し、術後の全乱視を軽減する目的で開発されたIOLである。一般的な適応としては、1D以上の角膜正乱視をもつ合併症のない白内障で、とくに視機能により影響の大きい角膜倒乱視はよい適応である。一方で、不正乱視は軽減できないため、円錐角膜や角膜移植後などの不正乱視を持つ症例は原則として適応にならない。概して、トーリックIOLによる乱視矯正は良好で安定した成績が得られるが、一方で「適応通りやったつもりなのに思ったほど矯正効果がでなかった」経験をもつ術者もおられることと思う。本講演では、トーリックIOLの適応や自験例の成績を示すとともに、予想通り矯正できなかった症例の矯正不良の原因について可能なかぎり検討する。

Profile1988年慶應義塾大学医学部卒業・同眼科学教室入局。1991年国立東京第二病院眼科、1995年国立埼玉病院眼科医長。1998年東京電力病院眼科科長、学位取得。1999年慶應義塾大学眼科講師(兼任)、2001年慶應義塾大学眼科専任講師を経て2007年慶應義塾大学眼科准教授就任。
 

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11:15〜11:30 Refreshment Break
 
 
11:30〜12:30 特別講演2「角膜」

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室教授
 

角膜疾患のトピックス

西田 幸二
大阪大学大学院医学系研究科
脳神経感覚器外科学(眼科学)講座教授

角膜内皮が神経堤由来の細胞で、バリア機能とポンプ機能によって角膜の含水率、角膜厚を一定に保ち、角膜の透明性維持に重要な役割を果たしている。最近では、角膜内皮細胞にも幹細胞が存在しているのではないかといった新たな知見やDSAEKなどの新しい治療法の開発、サイトメガロウイルス角膜内皮炎の疾患概念の報告など、角膜内皮が脚光を浴びている。さらに、DSAEKの発展型として、培養角膜内皮移植の研究が進められており、今後さらに注目すべきフィールドである。本講演では角膜内皮に着目し、基礎的知識の整理、病態から考える角膜内皮疾患の診断および角膜内皮疾患の治療の進歩について、具体例を提示しながら説明したい。

Profile1988年大阪大学医学部卒業。89年大阪厚生年金病院医員、92年京都府立医科大学助手。98年ソーク研究所(米国、サンディエゴ)研究員。2000年大阪大学助手、01年同講師、04年同助教授。06年東北大学教授。10年大阪大学大学院医学系研究科教授、現在に至る。
2003年〜日本眼科学会評議委員、2006年〜日本角膜学会理事、2007年〜東北大学トランスレーショナルリサーチセンター副センター長、2008年〜日本角膜移植学会理事、「再生医療の実現化」に関する研究開発専門委員会委員。
 

 
12:30〜12:40 Closing Remarks
 
 
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