201225日(日) 8:45〜12:40
 
8:15〜8:45 Breakfast
 
8:45〜9:45

Section 4 アンチエイジング

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室

Profile1980年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。1983年国立栃木病院眼科医長。1985年ハーバード大学留学、1987年ハーバード大学角膜クリニカルフェローシップ修了。帰国後再び国立栃木病院眼科医長。1990年東京歯科大学助教授、1998年東京歯科大学教授(眼科学)を経て、2004年慶應義塾大学教授(医学部眼科学教室)。日本眼内レンズ屈折手術学会常任理事、日本抗加齢医学会副理事長、日本再生医療学会理事、日本角膜学会評議員、ドライアイ研究会世話人代表などの要職に就く。

 
運動と目の健康

坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室

 健康のために運動が重要なことは知識としてみんなが共有する時代になった。厚労省のメタボリックシンドローム撲滅キャンペーンでも1に運動、2に食事、3、4がなくて5に禁煙とされている。では目の健康のためにも運動は重要なのだろうか。最近の疫学研究によって適度な運動によって加齢黄班変性、緑内障、そしてなんと白内障までもが予防できることがわかってきた。われわれのマウスにおける予備実験においても運動によって涙液量が増えることが確認されており、運動による目の健康増進の可能性が開かれようとしている。本講演では運動がどのように目の健康に寄与するのか想定される分子メカニズムを基に講演し、実際の応用についても触れる。

 
アンチエイジングは究極の予防医学

田中 孝
田中消化器科クリニック

 当院は内視鏡検査を主体とする消化器科クリニックであり、主に消化器系早期ガンを発見することを使命としてきた。その使命の延長はガン予防であり、ガン予防を積極的に展開すると本質的にアンチエイジング医療に到達する。患者さんのニーズはガン予防であり生活習慣病予防だが、それに応える生活・栄養・運動療法の基本はアンチエイジング医療そのものである。アンチエイジングドックを実施することによって、各患者さん固有の問題点をより早期かつ総合的に把握することが可能になる。そのデータを基に各患者さんに最適な生活・栄養・運動療法を指導し、必要に応じてサプリメントや健康食品についての的確な助言も行う。また一般保険診療でも、アンチエイジングドックの結果に応じたより適切な通常診療を心掛けている。当院のアンチエイジング医療を紹介し、皆さまの診療の一助になることを望みたい。

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9:45〜10:45 Section 5
角結膜

座 長 村上 晶
順天堂大学医学部眼科
 

1. 毛嚢虫性前部眼瞼炎と
Tea Tree Oilによる眼瞼清浄

川北 哲也
慶應義塾大学医学部眼科学教室

 毛嚢虫は、ニキビダニとも呼ばれ、ヒトに常在する。この毛嚢虫にはDemodex folliculorumとDemodex brevisの2種類が確認されている。前者は毛根部に生息し、後胴部が長く体長約0.4mmで、睫毛根部に生息する。毛嚢虫と眼瞼炎に関する報告はかなり古くからあるが、その存在自体は病因にならないと一般的に考えられてきた。
 最近になって、毛嚢虫の数が多くなることが病因となり、前部眼瞼炎を起こすという報告が注目されている。通常の治療に反応しない難治性の前部眼瞼炎の中に毛嚢虫性前部眼瞼炎が含まれているのである。今回紹介する新しい治療法は、難治性の毛嚢虫性前部眼瞼炎に対する睫毛根部の清浄するためのTea Tree Oilを紹介する。粘膜皮膚に塗布した際の刺激性はかなり高い。

 

2. ドライアイを訴えたが
ドライアイではなかった症例

梶田 雅義
梶田眼科

 ドライアイと診断され、ドライアイとして治療されても改善しない症例のなかに、本当はドライアイではない症例が含まれている。
 このような症例の多くは、不適切な度数のコンタクトレンズやメガネによる疲労症状がドライアイ類似の症状を呈している場合である。ドライアイと誤診されるもう一つは瞬目不全である。特にコンタクトレンズ装用者で、装用に慣れた頃に発症しやすい。軽い瞬目時に十分に閉瞼していないことと、特徴的な結膜充血を聴取できれば診断は容易である。
 ドライアイを訴える症例に対しては、ドライアイの対処療法を進めるだけではなく、発症原因を追究し、それに対処することが重要である。症例を呈示して、解説を加えたい。

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10:45〜11:00 Break
 
11:00〜11:30 Section 6 眼からウロコ

座 長 後藤 浩
東京医科大学眼科学教室
 

機能性食品因子と網脈絡膜病態

石田 晋
北海道大学大学院医学研究科眼科学分野

 生活習慣病により血管の炎症とともに老化のプロセスが進行される過程はメタボエイジングと呼ばれる。先進国の失明原因として重要な加齢黄斑変性は高血圧、動脈硬化などの生活習慣病が進行の危険因子とみなされており、眼のメタボエイジングと捉えることができる。抗加齢眼科学では、老化のプロセスを病気と捉え、眼疾患の背景因子として是正することを視野に入れた全身的・予防医学的アプローチを目的としているが、眼のメタボエイジングに対する抗加齢眼科学的介入の是非を問う生物学的根拠は未だ乏しい。本講演では、加齢黄斑変性における脈絡膜血管新生と炎症関連分子群が、自然界に存在する食物成分により制御可能かについて考察する。具体的には、米国の臨床試験Age-Related Eye Disease Study 2サプリメントとしても注目されている緑黄色野菜由来のルテインと魚油由来のオメガ3不飽和脂肪酸エイコサペンタエン酸などを紹介する。

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11:30〜12:30 特別講演「網膜硝子体」

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室
 

アンチエイジングと網膜疾患の外科治療

門之園 一明
横浜市大医療センター

 アンチエイジングという概念が、一般に知れわたり久しい。眼科領域でも、角膜・水晶体・毛様体筋などさまざまな器官に加齢にともなう疾患は存在する。光受容器である網膜にも多くの加齢にともなう疾患が存在する。特に、いくつかの疫学調査により特発性黄斑上膜、偽黄斑円孔の40歳以上の有病率は増加傾向にあり、多くの患者が矯正不能の視力障害を訴えている。現在では、これらの微妙な視力障害に対して、小切開硝子体手術は非常に有効でありその適応は拡大している。また、網膜静脈閉塞症、一部の黄斑変性に対してもその有効性は認識されており、本講演では網膜のアンチエイジング外科的治療に関して概説したい。

 
12:30〜12:40 Closing Remarks

常岡 寛
東京慈恵医科大学眼科学教室

 
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