Section 2 眼炎症
座 長 後藤 浩
東京医科大学眼科学教室
Profile◆1984年東京医科大学卒業眼科学教室入局、1987年東京医科大学眼科学教室 助手、1988年国立感染症研究所研究員、1988年南カルフォルニア大学眼科ドヒニー眼研究所研究員、1993年東京医科大学眼科学教室講師、2002年東京医科大学眼科学教室助教授、2006年東京医科大学眼科学教室教授、2007年東京医科大学眼科学教室主任教授、2009年東京医科大学病院副院長、現在に至る。
1. 強膜炎の薬物療法
後藤 浩
東京医科大学眼科学教室
強膜炎はNSAIDsの点眼薬が奏功する軽症例から、免疫抑制薬の全身投与を行ってもコントロールがままならない難治例まで、重症度の差が激しい疾患ですが、治療の中核をなすのはやはり副腎皮質ステロイド薬です。そのステロイドも局所投与が著効する例から内服薬の減量のたびに再発を繰り返す例まで、その反応は様々です。ステロイドの局所投与が有効なものの、眼圧上昇を来すために継続投与ができないこともありますし、激しい疼痛のためにステロイドの内服を減量、中止することができず、副作用対策に追われることも少なくありません。
このように厄介な強膜炎を中心に、薬物療法について具体例を示しながら解説させていただきます。
2. 強膜炎の外科的治療
高橋 浩
日本医科大学眼科
強膜炎は基本的に薬物治療で対処すべき疾患ですが、まれに壊死性強膜炎や強膜軟化症では外科的治療が必要となります。保存的治療が無効で強膜融解が進行した場合や、穿孔した場合はもちろん、極度の菲薄化により眼球形態が保てないような場合には、保存強膜あるいは保存角膜による菲薄部パッチを行います。菲薄部周辺の組織は正常で、パッチは意外としっかり生着する場合が多いようです。パッチに保存強膜を使用するか、保存角膜を使用するかについては意見が分かれます。いずれにしても外科的治療の成否を分けるのは結局のところ術前後に並行して行う消炎治療です。強膜組織の特徴に触れながら、自験例をご紹介します。 |