2013120日(日) 8:45〜12:40
 
8:15〜8:45 Breakfast
 
8:45〜9:45

Section 4 アンチエイジング

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授

Profile1980年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。国立栃木病院眼科医長、ハーバード大学留学、東京歯科大学眼科教授等を経て、2004年より現職。日本白内障屈折矯正手術学会常任理事、日本角膜学会理事、日本抗加齢医学会副理事長、日本再生医療学会理事、ドライアイ研究会世話人代表などの要職に就く

 
Happy People Live Longer

坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授

眼科疾患の90%は加齢関連疾患であり、AMD、緑内障、白内障、ドライアイをはじめとする疾病治療と予防を考えるうえで、エイジングの視点は欠かせない。よって、アンチエイジング的アプローチが大変重要となってくる。アンチエイジングの基本は3つある。
1)栄養バランスのとれた腹八分の食事
2)ちょっときつめの運動習慣
3)ごきげんに生きる!
食事と運動については以前の東京眼科アカデミーでも講演させていただいた。今回はごきげんに生きるーHappy People Live Longer!ーの話である。最近の疫学研究によって、人生を楽しんでいる人の方が病気になりにくいことがわかってきた。この流れを受けて2007年にInternational Positive Psychology Associationが設立され、日本でも日本ポジティブサイコロジー医学会が設立されるに至った。
本講演ではまだまだ新しい学問ではあるが、少しずつサイエンスになりつつある「ごきげんのサイエンス」について紹介したい。

 
水素による抗酸化作用とアンチエイジング効果

太田 成男
日本医科大学大学院医学研究科
加齢科学系専攻細胞生物学分野 教授

水素分子(あるいは分子状水素。分子式は、H2)には、生体内で抗酸化作用があり、様々な疾患の予防や治療、およびアンチエイジングに用いられる可能性を2007年に示唆した。その後、5年間で水素分子の医学的効用についての論文が200以上発表され、抗酸化作用に留まらず、抗炎症作用、抗アレルギー作用、再生機能の亢進、エネルギー代謝促進効果など多様な効果が示されている。臨床試験もさまざまな疾患に対して行われ、良好な結果がでている。水素分子は、水素分子を溶解した点滴液の点滴あるいは腹腔注射、点眼、水素ガスの吸引、水素を溶存させた水(水素水)の飲用、溶存水素分子お風呂への入浴、水素分子発生クリームなど多様な方法で摂取できる。

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9:45〜10:45 Section 5
角結膜

座 長 村上 晶
順天堂大学医学部眼科
 

前眼部OCTを駆使した
最先端の診断

森 秀樹
厚生中央病院眼科 医長

前眼部3次元OCTは角膜の3次元画像が取得できるため、角膜トポグラファーに臨床応用されている。CASIA(TOMEYコーポレーション)による角膜トポグラファーの特徴は、1. 測定時間が短く眩しくないため被験者への負担が少ないこと。2. 高度な不正乱視例や角膜混濁例に対して再現性の高い計測ができること。3. 角膜形状の異常部位をOCT断層像で観察できることなどが挙げられる。これらの特徴によって、プラチドリング型トポグラファーやスリットスキャン型トポグラファーでは困難であった角膜形状解析が可能である。
本講演では、円錐角膜の角膜形状評価やコンタクトレンズの選択法、感染性角膜炎の補助診断、光線追跡法を用いた新しい眼内レンズ度数計算ソフトOKULIXについて解説する。

 

ドライアイの新しい治療戦略 TFOT
(Tear film oriented therapy)

横井 則彦
京都府立医科大学眼科学教室 准教授

眼表面に水分やムチンを補充できる新しい点眼液の誕生により、ドライアイ治療は、新たな時代を迎えている。今、この新しい時代を牽引するコンセプトとして、角膜上の涙液層の動態を考えながら詳細に観察することによって涙液層から表層上皮に至る眼表面の異常を層別に明らかにし、最適の眼局所治療を選択して、涙液層の安定性を高めることで、より効果的にドライアイを治療するというドライアイの新しい治療戦略Tear film oriented therapy(TFOT)が生まれてきている。そこで、今回、このコンセプトについて紹介してみたい。近い将来、TFOTは、実際的な眼局所治療の使い分けを生みながら、より臨床に即した形に整理され、メディカルに治療できるドライアイの範囲を広げてくれるものと期待される。

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10:45〜11:00 Break
 
11:00〜11:30 Section 6 眼からウロコ

座 長 後藤 浩
東京医科大学眼科学教室 主任教授
 

閉塞型マイボーム腺機能不全の新しい治療:LipiFlow

戸田 郁子
南青山アイクリニック 理事長

蒸発型ドライアイの原因のひとつとして閉塞型マイボーム腺機能不全(MGD)は重要である。その治療としては、眼瞼洗浄とマッサージ、温罨法、抗生剤点眼と眼軟膏、油性点眼、攝子による眼瞼縁圧迫、特殊針によるプロービングなどの方法があるが、患者側の治療継続コンプライアンスの不良、治療時の痛み、治療の効果とその持続性などにおいて満足のいく治療方法はない。
TearScience社の開発したLipiFlow® Thermal Pulsation Systemは、眼瞼縁を結膜側から温めるとともに圧迫マッサージする方法で、効果的にマイボーム腺内の温度を上昇させ閉塞を解除し、その効果も約半年継続すると報告されている。
本講演では、海外のデータとともに、当院にて開始したLipiFlow治療の初期の結果について紹介する予定である。

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11:30〜12:30 特別講演「網膜硝子体」

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室
 

加齢黄斑変性診療アップデート

飯田 知弘
東京女子医科大学眼科学教室 主任教授

加齢黄斑変性(AMD)は日本でも患者が急増しており、近い将来には欧米に近い患者頻度になることが予想される。近年のAMD治療の進歩は著しく、現在、光線力学的療法(PDT)と血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬の二つの選択肢がある。VEGF阻害薬は平均視力の改善効果が確認されているが、臨床の現場では治療に抵抗する症例も存在する。また、日本人AMDは欧米人とは異なった臨床像を持ち、欧米の考え方をそのまま導入できない。さらに平成24年末には新規薬剤の発売が予定されている。それでは、どのような治療戦略でAMD診療に臨めばよいのだろうか。PDTとVEGF阻害薬の併用療法も含めて、AMDの病態から現時点での治療を考えてみたい。同時に、AMD患者を紹介する際の注意点と病診連携についても考えていく。

 
12:30〜12:40 Closing Remarks

村上 晶
順天堂大学医学部眼科 教授

 
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