Section 1 白内障
座 長 常岡 寛
東京慈恵会医科大学眼科学教室 主任教授
Profile◆1976年東京慈恵会医科大学卒業。1981年医学博士の学位受領後、1985年国立相模原病院眼科医長、1990年東京慈恵会医科大学眼科学講座講師、1996年東京慈恵会医科大学眼科学講座助教授、 2000年東京慈恵会医科大学附属第三病院眼科診療部長を経て2007年東京慈恵会医科大学眼科学講座主任教授就任。
フェムトセカンドレーザーは眼科手術を変えるか?
ビッセン宮島弘子
東京歯科大学水道橋病院眼科 教授
フェムトセカンドレーザーは、すでにLASIK (laser in situ keratomileusis)や角膜移植に用いられているが、多くの眼科医が関与する白内障手術への導入となり、注目度が急速に上昇した。新しい技術が紹介されると最初はその素晴らしさが多く語られ、次に合併症に代表される否定的なうわさが広がる。白内障手術の歴史では1980年代に超音波乳化吸引術が導入されたころと同じ現象が起きているように感じる。
最も使用されているLenSX(Alcon社)は、世界で術者が700名以上、5万件近くの実績があるが、本邦では承認を受けていないため、一部の施設で個人輸入かつ自費手術として施行されている。本講演ではレーザーの特徴、世界での使用状況および臨床成績、導入当初から最近までの改良点について紹介し、参加された皆様に眼科手術を変えるレーザーなのか評価していただければ幸いである。
新しい眼内レンズ二次挿入術
ー眼内レンズ強膜内固定術のすべてー
太田 俊彦
順天堂大学医学部付属静岡病院 先任准教授
最近欧米では、新しい眼内レンズ(IOL)二次挿入術としてIOL強膜内固定術が注目を集めている。その基本術式は、眼内に挿入したIOLの支持部を鑷子で把持して強膜創より眼外へ抜き出し、その支持部先端を強膜トンネル内に挿入して固定するというものである。縫着糸にてIOL支持部を毛様溝や扁平部に固定する従来の縫着術と異なり、眼内での固定は良好でIOLの偏心や傾斜もほとんど認めない。本術式の概念はGaborらが2007年に初めて報告したが、実際に行ってみると手術操作が難しく普及しなかった。2008年にはAgarwalらがフィブリン糊を用いる術式を報告したが、フィブリン糊は接着力が弱く術後低眼圧を高率に発症する。演者は「Y-fixation technique」を用いた新しいIOL強膜内固定術を考案し良好な術後成績を得ている。本講演では実際の手術手技と術後成績、本術式のポイントと適したIOLについて解説する。
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