Section 4 アンチエイジング
座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授
目はカメラであり時計だった!
坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授
Profile◆1980年慶應義塾大学医学部卒業、同大学眼科学教室入局。83年国立栃木病院眼科医長。85年ハーバード大学留学、87年同大学角膜クリニカルフェローシップ修了。帰国後、国立栃木病院眼科医長。90年東京歯科大学助教授、98年同大学教授(眼科学)。2004年慶應義塾大学医学部教授(眼科学教室)、現在に至る。
日本抗加齢医学会理事長、日本白内障屈折手術学会常任理事、日本コンタクトレンズ学会常任理事、日本眼科学会評議員、日本角膜学会理事、日本再生医療学会理事、ドライアイ研究会世話人代表、Tear Film and Ocular Surface President-Elect、国内外雑誌編集多数。2012年第116回日本眼科学会総会総会長、1st Conference on the Tear Film and Ocular Surface in Asia Chairperson。
眼はカメラである。眼科学はまさにこの立場から眼疾病学と眼光学の2つが融合されたものである。最近になり、新しい視点が登場した。眼は時計でもあったのだ ! サーカディアンリズムを司っているのが“ブルーライト”であることがわかってきたからである。新たに見つかった第3の光受容体であるipRGC(intrinsic photosensitive retinal ganglion cell)はブルーライトに吸収極大があり、赤や緑の光にはあまり反応しない。
長年、カメラとしての眼は眼科医がケアーしてきた。時計としての眼も眼科学の学問領域としてしっかりととらえていくべきであろう。サーカディアンリズムの障害や、睡眠問題も将来“眼科のお仕事”となることを願って本講演を行いたい。
体内時計と健康
岡村 均
京都大学大学院薬学研究科医薬創成情報学講座 教授
Profile◆1979年3月京都府立医科大学医学部卒業、同年5月国立岡山病院小児医療センタ−。81年4月京都府立医科大学医学部第二解剖学教室助手、87年同講師、90年同助教授。87年6月フランス国立医学研究所 (INSERM, Lyon)、フランス国立科学研究所 (CNRS, Gif-sur-Yvette/Paris) へ留学。95年神戸大学医学部教授(解剖学第二講座)。2000年神戸大学大学院医学系研究科教授(脳科学講座分子脳科学分野)、07年5月京都大学大学院薬学研究科教授(医薬創成情報科学講座システムバイオロジー分野)就任(2008年3月まで神戸大学大学院医学系研究科教授を兼任)。現在に至る。
2007年5月 神戸大学名誉教授。日本時間生物学会理事。
人類は、夜明けとともに起き、日中働いて、日が暮れれば眠るという周期的な活動を繰り返してきた。この数百万年も続く生活リズムは、近年崩れ初め、就寝時間の遅延と睡眠時間の短縮化が著しい。これには、交替制勤務、時差勤務、長時間労働の一般化にともなう社会環境の急速な変貌によるもので、この傾向は止めようも無く、個人の健康保全や社会安全への影響が懸念されている。本講演では、生体リズムシステムの最新の理解と、そのシステムの破綻が起こったときの疾病について解説し、どのような生活をすれば健康を保てるのかを、時間生物学の観点より提言したい。 |