2014125日(土) 14:50〜18:45
 
14:50〜15:00 Opening Remarks

坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授

 
15:00〜16:00 Section 1 白内障

座 長 常岡 寛
東京慈恵会医科大学眼科学教室 主任教授
 
2020年の多焦点眼内レンズ予想

ビッセン宮島弘子
東京歯科大学水道橋病院眼科 教授

Profile1981年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。84年ドイツ ボン大学眼科助手。87年慶應義塾大学医学部眼科学教室助手。89年国立埼玉病院眼科医長、95年東京歯科大学市川総合病院眼科講師、慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤講師。2000年東京歯科大学水道橋病院眼科助教授、03年東京歯科大学水道橋病院眼科教授、現在に至る。

2007年に現在使用されている多焦点眼内レンズの基本となるレンズが承認され、その後、着色、非球面、近方加入度の少ないタイプが登場した。さらにトーリック機能が加わり、眼内レンズの方はバリエーションがほぼ揃った感じである。タイトルは2020年と、きりのいい年号にしたが、これから6年後は、これまでの6年が眼内レンズそのものの進化の時代とすれば、眼内レンズ挿入術の進化の時代になると予想される。高機能眼内レンズをいかにうまく使いこなすかは、適切な度数およびモデル決定と理想的な位置に固定することが重要で、そのために顕微鏡と連動した術中生体測定、術前検査結果とのリンク、フェムトセカンドレーザーによる精密な切開、より安全な眼内レンズ挿入技術が可能になるであろう。皆さんと2020年にタイムスリップして多焦点眼内レンズの状況をのぞいてみたい。

 
白内障手術難症例対策

柴 琢也
東京慈恵会医科大学眼科学教室 講師

Profile1994年東京慈恵会医科大学卒業、国立病院機構東京医療センター。96年東京慈恵会医科大学眼科学講座。2001年国立病院機構相模原病院。02年国立パリ第6大学付属眼科病院 Quinze-Vingts留学(フランス)。07年東京慈恵会医科大学眼科学講座講師。

近年の白内障手術の進んできた方向は、水晶体摘出に関してはいかに安全に小さな切開創から水晶体を摘出するか、また眼内レンズ(IOL)に関してはいかに質の高い視機能を得られるIOLを小さな切開創から挿入するかについて検討されてきたといえる。現在では、超音波白内障手術(PEA)とfoldable IOLによる小切開白内障手術によって完成度の高い術式となっており、その結果、手術侵襲は眼・全身共に従来の方法に比べて格段に少なくなり、急速に手術の適応が拡大している。今までは良好な術後視機能が期待されないために最後まで手術の適応になり辛かった難症例に対しても同様であるが、決して手術が容易になったのではなく、様々な技術が進歩したことによる。従って適切な対策を行なわないで難症例に対しての手術に臨んでしまうと、時に重篤な合併症を来たしてしまう可能性がある。今回は、難症例に対する白内障手術を施行する際に必要な対策について検討する。

▲上へ戻る
 
16:00〜17:00 Section 2 角結膜

座 長 村上 晶
順天堂大学医学部眼科 教授
 
角膜内皮移植の現在と未来

小泉 範子
同志社大学生命医科学部医工学科 教授

Profile1994年京都府立医科大学卒業、眼科学教室入局。2000年京都府立医科大学大学院修了、ケルン大学留学。03年同志社大学再生医療研究センター助教授、08年同志社大学生命医科学部医工学科准教授、10年同志社大学生命医科学部医工学科教授、現在に至る。 京都府立医科大学客員教授、京都大学臨床准教授を兼任。日本角膜学会評議員、日本眼感染症学会評議員。

近年、水疱性角膜症に対する角膜移植は大きな進化を遂げ、DSAEKやDMEKなどの角膜内皮パーツ移植の素晴らしい治療成績が報告されています。しかし現在でも、ドナー不足や拒絶反応、内皮細胞減少による移植片不全など、角膜移植には未解決の課題が残されています。我々は水疱性角膜症に対する新規治療法の開発に取り組んでおり、培養角膜内皮細胞の前房注入による再生医学的治療や、角膜内皮を増殖させる点眼薬の開発を行っています。一部のものはすでに京都府立医科大学における臨床研究が開始されており、近い未来に臨床現場での実用化が期待されています。本講演では角膜内皮移植の現状と角膜内皮トランスレーショナル研究の最前線をご紹介いたします。

 
角膜クロスリンキング

加藤 直子
防衛医科大学校眼科 講師

Profile1990年金沢大学医学部卒業。93年エアランゲン大学(ドイツ)留学、96年金沢大学医学部大学院卒業。99年南青山アイクリニック。2002年東京歯科大学市川総合病院非常勤講師、05年慶應義塾大学医学部眼科非常勤講師、10年日本医科大学武蔵小杉病院眼科助教、11年防衛医科大学校眼科講師。現在に至る。

わずか10年ほど前まで円錐角膜の治療はハードコンタクトレンズと角膜移植に限られていた。しかし、屈折矯正手術の発展に伴って有水晶体眼内レンズ、角膜内リングなどの新しい方法が用いられるようになり、さらに2003年に角膜クロスリンキングが発表されてから、円錐角膜治療は大きな転換期を迎えている。
角膜クロスリンキングは、リボフラビンと長波長紫外線の作用により、角膜実質のコラーゲン線維を架橋し、角膜の強度を上げ、角膜形状の変化を防ぐことで円錐角膜の進行を停止させる治療法である。本講演では、角膜クロスリンキングの適応決定、器機の選定も含めた実際の施術方法、術後経過観察のポイント、合併症のマネージメント、今後の展望などについて解説する。

▲上へ戻る
 
17:00〜17:30 Section 3 屈折矯正

座 長 ビッセン宮島弘子
東京歯科大学水道橋病院眼科 教授
 
LASIK術後患者への対応の注意点

岡本 茂樹
岡本眼科クリニック 院長

Profile1958年大阪市生まれ。1984年鳥取大学医学部卒業、大阪大学眼科学教室入局。92年マイアミ大学免疫感染症教室研究員、93年ハーバード大学スケペンス眼研究所研究員。95年愛媛大学医学部眼科講師。2000年幸塚眼科院長、愛媛大学非常勤講師。07年岡本眼科クリニックに改名。現在に至る。

屈折矯正手術が白内障手術についで多数の患者に行われるようになると、屈折矯正手術を行わない眼科医もその対応に迫られる場面が増加してきた。非LASIK術者のみならずLASIK術者であっても、他院で手術を受けた患者の対応には難渋することも多い。
術後早期の患者の最も大きな問題はLASIK術後ドライアイである。通常は6ヶ月程度の経過で涙液量は術前の状態に戻るとされているが、その対応方法は理解しておく必要がある。
手術後数年で多いのが術後近視化である。LASIK術後は長期的には徐々に近視化するとされており、視力の低下を訴える患者が来院することがある。まずは眼圧下降点眼薬を処方して裸眼視力の向上を試みるが、レーザー再照射や、白内障がからむとrefractive lens exchangeなどが必要な場合も多い。この際にはIOL度数計算に注意が必要で、偏心照射など角膜不正乱視が強い症例では、まず不正乱視を矯正する必要のある症例も存在する。 症例を呈示しながらLASIK術後患者への対応についての注意点について考えたい。

▲上へ戻る
 
17:30〜17:45 Break
 
17:45〜18:45 特別講演 「緑内障」

座 長 常岡 寛
東京慈恵会医科大学眼科学教室 主任教授
 
緑内障治療指針

吉川 啓司
吉川眼科クリニック 院長

Profile1976年日本医科大学医学部卒業、東京女子医科大学眼科学教室。85年東京女子医科大学眼科学講師。87年オリンピア眼科クリニック。99年吉川眼科クリニック開業。現在に至る

緑内障診療は最近10年間で大きく変貌した。その契機となったのが、多治見スタディであり、特に日本は海外と比べNTGが高頻度であること、また緑内障の病態が多様化していることなどが明らかにされた。2000年にはプロスタグランディン関連薬(PGs)が臨床に供され、その優れた眼圧下降力は緑内障治療に対しbreak throughをもたらした。一方で、緑内障治療は眼圧下降に留まるため、2003年には緑内障診断や治療の「物さし」として緑内障ガイドライン(GL)が策定され、特に、その最新版では治療効果と直結する「継続性」すなわちアドヒアランスの重要性が、今後の緑内障治療の方向性を示している。
そこで、今回、多治見スタディ・PGs・GL・アドヒアランスの各項目を踏まえ現在の緑内障治療について検討した。

 
18:45〜 情報交換会
 
▲上へ戻る