201528日(日) 8:45〜12:40
 
8:15〜8:45 Breakfast
 
8:45〜9:45

Section 3 アンチエイジング

座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授

 
今できる目のアンチエイジング

坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授

Profile1980年慶應義塾大学医学部卒業。83年国立栃木病院眼科医長。85年ハーバード大学留学、87年同大学角膜クリニカルフェローシップ修了。国立栃木病院眼科医長、東京歯科大学教授等を経て、04年より現職。日本抗加齢医学会理事長、日本白内障屈折手術学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼科学会評議員、日本角膜学会評議員、日本再生医療学会理事、ドライアイ研究会世話人代表など。

アンチエイジングの基本は、1)適切な栄養と食事、2)適度な運動、そして、3)ごきげんに生きる!ことにある。これを目に応用したらどうなるだろうか?目によい栄養については近年さまざまなフードファクターが同定されている。ラクトフェリン、ルテイン、アントシアニンなどが代表選手だ。目と運動の研究は少ないが、少しずつ相互関係についてプラスの効果が得られつつある。ごきげんのサイエンスも進みつつあるが、我々は新しいアプローチとして、リッドハイジーンと、保護眼鏡による目の環境改善の取り組みで良い結果を得ている。これは言うなれば、「目のごきげん」へのアプローチとも解釈できる。本講演では、“今できる目のアンチエイジング” として、サイエンスをもとに実行できる手法について提案する。

 
Sunny sideとdark sideの
情動・意思決定に関する脳科学

高橋 英彦
京都大学大学院医学研究科脳病態生理学精神医学教室 准教授

Profile1997年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。97年東京医科歯科大学医学部附属病院研修医、98年東芝林間病院精神神経科医師。99年浅井病院精神科医師、2004年浅井病院精神科急性期医長。05年University of Melbourne, Centre for International Mental Health, Visiting Fellow。05年放射線医学総合研究所博士研究。06〜10年同主任研究員。08〜12年科学技術振興機構さきがけ研究員。08〜09年California Institute of Technology Division of Biology, Computation and Neural Systems Option, Visiting Associate。10年京都大学大学院医学研究科脳病態生理学精神医学教室講師、11年同准教授、現在に至る。

臨床心理・精神医学ではうつ病や不安障害、攻撃性などといった病態を扱うため、悲しみ、恐怖、怒りなどnegative情動を扱った研究が多かった。しかし、negative情動をマネジメントするだけでは、臨床的にも患者のwell-being、QOLの向上には不十分ということがわかってきている。Positive psychologyの流れも相まって、精神疾患の病態をもdark sideのみでなく、sunny sideからも理解しようとする動きが、高まっている。私達のMRIや分子イメージングを用いた感情や意思決定に関する研究を紹介しつつ、眼科領域との接点について眼科の先生方と意見交換させていただけたら幸いである。

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9:45〜10:15 Section 4 屈折矯正

座 長 ビッセン宮島弘子
東京歯科大学水道橋病院眼科 教授
 

貫通孔付き有水晶体眼内レンズ(Hole ICL)

神谷 和孝
北里大学医学部眼科学教室 准教授

Profile1993年神戸大学医学部医学科卒業。96年東京大学医学部眼科助手、2001年国立病院機構東京病院眼科医長。03年公立学校共済組合関東中央病院眼科部長。06年北里大学医学部眼科専任講師、11年北里大学医学部眼科准教授、現在に至る。

後房型有水晶体眼内レンズの問題点として術後白内障の発症や瞳孔ブロック予防を目的とした術前レーザー虹彩切除の必要性が挙げられます。これらの問題を解決すべくレンズ中央部に貫通孔を開けた有水晶体眼内レンズ(Hole ICL; KS−AP, STAAR Surgical社)が新たに登場しました。このレンズは国内で独自に開発され、実用化に至った革新的なテクノロジーの一つです。その初期臨床成績は良好であり(BJO 2012)、術後眼圧上昇や白内障の発症を認めず、収差、散乱、コントラスト感度(AJO 2012)、眼球光学特性(PLoS One 2013)も従来レンズとほぼ同等であることが報告されています。本邦でも2013年3月に認可され、新たな屈折矯正手術の選択肢として今後の普及が期待されます。本講演では、これまでの開発の経緯や理論的な裏付けとなるデータを紹介し、新たなパラダイムシフトとなり得るのか検証したいと思います。

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10:15〜10:45 Section 5 白内障治療

座 長 常岡 寛
東京慈恵会医科大学眼科学教室 主任教授
 

トーリック機能つき多焦点眼内レンズの
上手な使い方

ビッセン宮島弘子
東京歯科大学水道橋病院眼科 教授

Profile1981年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。84年ドイツ ボン大学眼科助手。87年慶應義塾大学医学部眼科学教室助手。89年国立埼玉病院眼科医長、95年東京歯科大学市川総合病院眼科講師、慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤講師。2000年東京歯科大学水道橋病院眼科助教授、03年東京歯科大学水道橋病院眼科教授、現在に至る。

2014年に多焦点トーリック眼内レンズ(IOL)が承認され、角膜乱視例への多焦点IOLの適応が広がった。今まで、角膜乱視が1D以上の場合、乱視矯正手術を施行している施設は限られているので、乱視による裸眼視力への影響を考慮し、単焦点IOLを選択する施設が多かった。トーリックIOLはすでに単焦点タイプが普及しており、角膜乱視矯正手術に比べて乱視矯正精度や術後屈折の安定性が優れていることが確認されている。多焦点トーリックIOLも同じような結果が期待できるのだろうか?多焦点IOL希望で角膜乱視がある症例への術前検査、適応判断、IOLモデル選択、術式の注意点をわかりやすく説明し、一人でも多くの眼科医に多焦点トーリックIOLを上手に使っていただきたい。

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10:45〜11:00 Break Time
 
11:00〜11:30 Section 6 角結膜

座 長 村上 晶
順天堂大学医学部眼科 教授
 

コンタクトレンズと感染性角膜炎

山田 昌和
杏林大学・杏林アイセンター 教授

Profile1986年慶應義塾大学医学部卒業、眼科入局。93年米国Duke大学アイセンター研究員。95年慶應義塾大学眼科助手、97年慶應義塾大学眼科講師。2003年国立病院機構東京医療センター感覚器センター部長。13年杏林大学アイセンター教授、現在に至る。

使い捨て・頻回交換レンズ、シリコーンハイドロゲル(SH)の普及などコンタクトレンズ(CL)の世界はここ10年で大きく変化した。低酸素状態、CLの劣化・沈着物による角膜障害は激減し、ドライアイやアレルギー性結膜炎にも対処の選択肢が拡がった。しかし、重篤な合併症である感染性角膜炎は逆に増加傾向にあり、医学的にも社会的にも問題になっている。最近のカラーCLの流行も感染性角膜炎の増加に拍車をかけている。なぜSHでも期待されたほど角膜炎が減少しないのだろうか。なぜカラーCLはリスクが高いのだろうか。ここではCLによる感染性角膜炎について臨床疫学や基礎医学の知見を交えながら、その臨床像の特徴、治療法についてまとめてみたい。

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11:30〜12:30 特別講演3

座 長 後藤 浩
東京医科大学臨床医学系眼科学分野 主任教授
 

より正確な網膜色素変性の診療

山本 修一
千葉大学大学院医学研究院眼科学 教授
千葉大学病院 病院長

Profile1983年千葉大学医学部卒業。89年コロンビア大学眼研究所研究員。94年富山医科薬科大学眼科助教授。97年東邦大学佐倉病院眼科助教授、2001年東邦大学佐倉病院眼科教授。03年千葉大学大学院医学研究院眼科学教授、現在に至る。07年千葉大学病院副病院長併任、14年千葉大学病院長併任。

網膜色素変性の診療と言えば、初診時にはERGを記録するものの、その後の診察では視力、ゴールドマン視野、眼底の3点セットが定番でしょうか。年に一、二度診察しても、どれもいつも同じ。「変わりないですよ」と患者に言っても、「いや、絶対に見え方悪くなってます」と納得しない。網膜色素変性は慢性進行性の疾患ですから、患者の訴えが正しいのですが、3点セットではそれを客観的に裏付けることができなかったのです。しかしハンフリー視野やマクロペリメトリで眼底中心部の網膜感度を測定すれば、ゆっくりと低下しています。さらに黄斑部の光干渉断層像ではIS/OSラインの短縮が、眼底自発蛍光で変性部位と正常部位の境界にみられる過蛍光リングの縮小がみられます。そして、OCTや眼底自発蛍光で見られる変化は、網膜感度の低下と相関し、自覚症状の悪化を見事に裏付けています。ハンフリー視野もOCTも、そして眼底自発蛍光さえも眼科の標準装備となりつつあります。もう3点セットからは脱却し、患者の訴えに寄り添う正確な診療をしませんか?

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12:30〜12:40 Closing Remarks

村上 晶
順天堂大学医学部眼科 教授

 
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