Section 2 眼腫瘍
座 長 後藤 浩
東京医科大学臨床医学系眼科学分野 主任教授
眼内にみられる腫瘍性病変
後藤 浩
東京医科大学臨床医学系眼科学分野 主任教授
Profile◆1984年東京医科大学卒業。88年米国ドヒニー眼研究所留学。93年東京医科大学眼科講師、2002年東京医科大学眼科助教授、06年東京医科大学眼科教授、07年東京医科大学眼科主任教授、現在に至る。
日本眼炎症学会理事長。
眼内に発生する腫瘍は発生頻度が低いこともあり、馴染みの薄い分野であろうと思います。良性腫瘍の場合には特に治療を必要としないものもありますが、視機能に悪影響を及ぼすようであれば何らかの対応が求められます。悪性腫瘍は何よりも確実な臨床診断が必要であるとともに、以前は眼球摘出が中心であった治療法も、最近は可能な限り眼球の温存を考慮した方法を選択するようになりつつあります。
講演では長い眼科医稼業の中で一度は経験するであろう、悪性腫瘍を含めた眼内腫瘍の数々をご紹介させていただきます。
眼内腫瘍と紛らわしい病変
平形 明人
杏林大学医学部眼科学教室 主任教授
Profile◆1982年慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学病院研修医。84年国立東京第二病院眼科。85年国立栃木病院眼科医長。87年慶應義塾大学助手。89年アメリカ合衆国デューク大学留学。92年杏林大学医学部眼科講師、97年杏林大学医学部眼科助教授、2005年杏林大学医学部眼科教授、08年杏林大学医学部眼科主任教授、現在に至る。
眼内腫瘍性病変には滲出性網膜剥離、出血、炎症、新生血管などを合併することが多い。眼内腫瘍と紛らわしい臨床所見や疾患について整理してみたい。
網膜剥離は脈絡膜腫瘍や網膜血管腫などに合併する。脈絡膜血管腫などでは胞状網膜剥離を来すこともある。滲出性網膜剥離を来す疾患には中心性漿液性脈絡網膜症、脈絡膜血管新生を合併する疾患、網膜色素上皮裂孔、小眼球、陳旧性網膜剥離に合併した網膜嚢腫などが鑑別になる。
網膜下血腫、出血性色素上皮下出血、出血後の白色瘢痕組織なども脈絡膜血管腫や黒色腫などの脈絡膜腫瘍や網膜過誤腫などの網膜腫瘍に類似することがある。
dome-shaped macula, acquired viteliform lesionなどは転移性腫瘍などを思わせる隆起性病変を呈することもある。 |