Anti-aging
座 長 坪田 一男 慶應義塾大学医学部眼科学教室
1. 眼から始めるアンチエイジング
坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室教授
アンチエイジング医学では、加齢の影響を少しでも取り除いて疾病発症確率を減らすことが主たる目的のひとつである。現在エイジングの仮説として、活性酸素仮説と、カロリーリストリクション仮説の2つが有力な理論と注目されている。これらの理論に従って予防医学を展開することが着実なアンチエイジング医学へのステップと考えられるが、当然それは眼科領域でもあてはまることだ。老視、白内障、加齢黄斑変性、緑内障、網膜剥離、糖尿病性網膜症、ドライアイなど、実に80%以上の眼科疾患が加齢と関連する。アンチエイジング医学における最新の情報と、それらの眼科への応用と可能性をお話したい。
Profile◆1980年慶應義塾大学医学部卒業後、日米の医師免許を取得、85年米国ハーバード大学に留学、87年角膜クリニカルフェロー修了。99年、『The New England Journal of Medicine』の巻頭論文に「角膜上皮のステムセル移植術」が掲載され、世界に先駆けて体細胞ステムセル移植による治療を発表し注目を集める。ドライアイの研究においても高く評価され、各国で講演・指導にあたるほか、国内では、眼科専門医による安全な近視治療、アイバンクの活動にも精力的に取り組む。2001年より、研究と診療にアンチエイジング医学を導入し、その科学的な取り組みに注力。日本抗加齢医学会理事、「アンチエイジング医学」編集委員長を務める。
2. 内科領域からみた眼科への提言
久保 明
東海大学医学部教授、高輪メディカルクリニック院長
高輪メディカルクリニックでは、2001年に国内で初めてとなるアンチエイジングの診断システム「健康寿命ドック」を設立。生活習慣病や動脈硬化に関する地道なデータの蓄積と解析を行い、エイジングの診断と、ライフスタイルの介入について検討を重ね、東海大学医学部における「抗加齢ドック」の礎をきずいた。現在では、「遺伝子」「リスクマーカー」「画像」の3つの要素を組み合わせて、その人の生活習慣病リスクを把握し、個々のライフスタイルへの介入を行っている。このセッションでは、アンチエイジング医療の実際と最新の情報、そして眼科を専門とする先生方へ内科的なアプローチをご紹介し、ディスカッションを深めたい。
Profile◆1979年慶應大学医学部卒業、東京都済生会中央病院内科入局。1985年日本内科学会認定内科専門医。1988年医学博士号取得、米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化部門留学。1989年日本糖尿病学会認定糖尿病専門医取得。1990年日本医師会認定健康スポーツ医、1991年東京都済生会中央病院内科副医長(〜1993年)、1992年日本内分泌学会認定内分泌専門医取得、杏林大学非常勤講師を経て1996年高輪メディカルクリニック設立院長就任。2000年日本予防医学協会学術担当理事、2002年日本抗加齢医学会理事。2005年 Anti-Aging Doctors株式会社 総合研究所 所長就任。2006年東海大学医学部教授就任、2006年新潟薬科大学客員教授就任。 |