角結膜
座 長 村上 晶 順天堂大学医学部眼科教授
Profile◆1981年順天堂大学医学部卒業。1981年順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科臨床研修医、1982年順天堂大学医学部眼科学講座助手。1984年日赤医療センター眼科医員、1986年国立精神神経センター神経研究所流動研究員。1988年米国National Eye Institute留学(研究員)、1989年マイアミ大学医学部眼科留学(客員研究員)。1992年防衛医科大学校眼科講師、2000年順天堂大学医学部眼科講師を経て、平成15年1月順天堂大学医学部眼科教授就任。現在に至る。
1. 角膜パーツ移植
榛村 重人
慶應義塾大学医学部眼科学教室准教授
角膜移植の適応となる多くの症例では障害された部位が限局されているため、角膜の全層を移植する必要はない。円錐角膜に全層角膜移植することは拒絶反応を起こす可能性があるばかりか、ステロイド点眼による高眼圧もしばしば問題となる。一方で、水疱性角膜症は角膜内皮の疾患であり、進行した症例以外では上皮と実質は正常である。全層角膜移植(PKP)は確立された術式であるものの、不必要な侵襲を加える術式であるとも言える。そこで必要な組織のみを移植する「角膜パーツ移植」がここ数年の間に盛んに行われるようになった。本講演では、具体的な術式を紹介しつつ、今後の角膜手術の展開について紹介したい。
Profile◆1989年慶應義塾大学医学部卒業。1992年足利赤十字病院眼科部長、1995年慶應義塾大学医化学教室研究員、1996年東京歯科大学眼科学教室助手、2000年同大学眼科講師。2005年慶應義塾大学眼科学講師を経て、2007年同大学眼科准教授就任。日本眼科学会会員、日本眼科手術学会誌編集員、日本再生医療学会評議員、角膜センターアイバンク運営委員。
2. 眼の不定愁訴と結膜弛緩症
横井 則彦
京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学准教授
眼の不快感にかかわる不定愁訴は、しばしば外来を悩ますものである。しかし、眼の不快感の原因を看破して効果的に治療を施すには、涙液の病態生理や、ドライアイ、あるいは、結膜弛緩症などのドライアイ関連疾患、眼瞼疾患といったさまざまな疾患を熟知していなければならず、なかなかハードルが高い。そのような中で、結膜弛緩症は、頻度が高く、誰にでも診断ができ、病態が理解しやすく、しかも、その外科治療は驚くほど効果的である。また、本疾患の克服により、他の眼の不快感の原因がよく見えるようにもなる。本講演では、眼の不定愁訴の代表疾患の1つとも言える結膜弛緩症について、最近の手術成績や最新知見を交えながらまとめてみたい。
Profile◆1984年京都府立医科大学卒業、1985年京都府立医科大学眼科学教室入局。1986年京都府立医科大学助手。1987年京都府与謝の海病院眼科。1989年京都府立医科大学大学院、1994年京都府立医科大学講師。1995年オックスフォード大学ナフィールド眼研究所研究員を経て、1999年京都府立医科大学助教授就任。 |