Section 2 アンチエイジング
座 長 坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授
ドライアイの新しい考え方と最新治療
坪田 一男
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授
Profile◆1980年慶應義塾大学医学部卒業。83年国立栃木病院眼科医長。85年ハーバード大学留学、87年同大学角膜クリニカルフェローシップ修了。国立栃木病院眼科医長、東京歯科大学教授等を経て、04年より現職。日本抗加齢医学会理事長、日本白内障屈折矯正手術学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼科学会評議員、日本角膜学会理事、日本再生医療学会理事、ドライアイ研究会世話人代表など。
ドライアイ研究会よりTFOT(涙液層別治療)の概念が提唱され、臨床に使われるようになってきた。この考え方は、涙液層の安定性をドライアイの中心に考えるものである。さらに最近はここに“Neuropathic Pain” (神経症的な痛み)という考え方が導入されて、ドライアイは涙液の不安定性と症状(痛み)の混合であることがわかってきた。これにともなって日本およびアジアのドライアイ研究会では新しい診断基準を提唱している。そこで今回新しく提唱された診断基準を中心に、なぜそのような変更が必要になってきたのか、新しい考え型の概要、およびそれに
ともなって進歩しつつあるドライアイ治療のアップデートについて概説する。
栄養応答シグナル制御による健康寿命の延伸
古家 大祐
金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学 教授
Profile◆1984年滋賀医科大学医学部医学科卒業、同年滋賀医科大学医学部附属病院第三内科。86年千里保健医療センター新千里病院内科医員、89年滋賀医科大学医学部附属病院第三内科医員、92年同大学医学部附属病院第三内科助手。94年ジョスリン糖尿病センター研究員、97年滋賀医科大学医学部附属病院第三内科助手、2004年同大学医学部附属病院内科講師。05年金沢医科大学内分泌代謝制御学教授、10年金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学教授(講座名変更)。13年金沢医科大学病院副院長併任、現在に至る。
加齢は、あらゆる組織や器官の機能喪失を引き起こし生命や健康寿命に悪影響を与える。一方、カロリー制限(CR)は加齢関連疾患を防止に加え寿命延伸に繋がることが、様々な動物で明らかにされてきた。CRは、多面的な効果を発揮し代謝異常を改善する。なかでも、サーチュイン活性化に伴うオートファジー機構の維持によって、ミトコンドリアが正常に機能することが重要である。実際、上記のメカニズムを介してCRは糖尿病あるいは加齢に伴う腎障害を改善する。ところが、最近、CRかあるいは三大栄養素であるたんぱく質のどちらが健康長寿に繋がるのかが注目されてきた。我々も、たんぱく質制限によるオートファジー機構の維持が代謝異常ばかりでなく腎障害も改善されることを、また他の研究者から寿命延伸に繋がることも報告された。本アカデミーでは、最近のトピックも踏まえ健康長寿達成に繋がる栄養応答シグナルを紹介する。
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