第69回日本聴覚医学会総会・学術講演会
会長 伊藤 健
皆様ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。この度、第69回日本聴覚医学会総会・学術講演会を2024年10月23日(水)~25日(金)に帝京平成大学池袋キャンパスにて開催することとなりました。
帝京大学で本学会を担当いたしますのは、2003年の第48回大会までさかのぼり、本学会の顧問でもある小寺一興名誉教授が21年前に会長をお勤めになられました。歴史ある日本聴覚医学会を主催する機会を頂戴致しましたのは、大変光栄なことであります。
本学術講演会では主題を2つ決めておりますが、今回は例年とやや異なり、すでに盛んとなっている話題ではなく「問題提起」を行いたいという考えから、主題1「“気長に続ける”聴覚研究」、主題2「補聴器のデジタル機能とその効果」といたしました。
聴覚研究では短期的にエビデンスが得られないものもあり、「地道にコツコツと」研究をする態度がこれを克服するのに有用と考えます。主題1では 1)ある程度長い期間にわたって地道なデータ収集を行った研究、2)当初は確実に有用な結果が得られるか否か不明であったが継続により何らかの“果実”が得られた研究を幅広く募集いたしました。関連する教育講演1「“気長に続ける”研究の特色と倫理・利益相反等について」(共通講習【必修:医療倫理】)も行い、シンポジウム1「聴力データの蓄積から見えてきたもの~過程を楽しみ結果に縛られない研究~」(領域講習)では3名の演者に“気長に続ける”研究の醍醐味を語っていただきます。
主題2では、補聴器のデジタル機能に対する学問的評価を行った研究を募集しました。補聴器のデジタル化からすでに久しく、各社独自の機能も多数開発されてカタログを賑わせていますが、実使用でどのような他覚的効果・自覚的効用があるか不明なものがあることも事実です。14年ぶりの補聴器関連主題となります。関連する教育講演2「補聴器のデジタル機能について」(領域講習)ではこの分野のエキスパートである佐野 肇先生に最新のものを含めたデジタル機能の総覧を行っていただきます。
主題は以上の2つとなりますが、今回は「第3の主題」ともいえるジャンルとして近年注目されている「聴覚リハビリテーション」を設定しており、シンポジウム2(領域講習)を中心に御発表いただきます。また、会期中に行われる補聴研究会におきましても関連講演の企画があります。
さらに、本学術講演会の「隠れた目玉」は例年会期中に行われる3研究会(補聴研究会・聴覚生理研究会・難聴遺伝子の研究会)の「異時開催」ならびに「無償化(学術講演会参加者に対して)」です。3研究会は学問的に大変高いレベルを誇っており、この参加を容易とする試みとして行いました。
もちろん一般演題の応募を多数いただいており、この場を借りて感謝申し上げます。現地開催終了後に「オンデマンド配信」も予定いたしました。大学や基幹病院のみならず開業の先生方の診療および研究に還元できる学会とできれば幸いです。
会場となる帝京平成大学池袋キャンパスは、サンシャインシティ至近に位置し、大変交通の便の良いところです。本学ホームグラウンドでもある大学キャンパスで、心のこもったおもてなしの精神で皆様をお迎え申し上げます。
2024年7月改定