会長挨拶

ご挨拶

第31回日本頭頸部外科学会総会ならびに学術講演会
会長 猪原 秀典

 第31回日本頭頸部外科学会総会ならびに学術講演会を開催させていただくにあたり一言ご挨拶申し上げます。

 本学会元理事長の北野博也先生をはじめ本学会役員各位のご高配で今回このような機会を頂戴いたしましたことを、先ずは厚く御礼申し上げます。本来であれば令和3年2月18日 (木) から19日 (金) の会期で開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い会場は大阪市のコングレコンベンションセンターとしたままで、会期を1年延期し令和4年3月3日 (木) から4日 (金) とさせていただきました。会期を1年延期した以上は万全の体制で皆様を大阪にお迎えしようと鋭意準備を進めて参りましたところ、演題募集期間の頃には幸いにも新型コロナウイルス感染症の新規発生数も少なく状況は安定し、大変多くの演題登録をいただくことができました。しかし、オミクロン株の出現に伴い状況は一変し、現在は第6波の渦中にあります。海外ではピークアウトの兆候も既に見え始めていますので、本邦においても学会開催の頃には状況が好転しているのではという淡い期待もありますが、全く予断を許しません。本学術講演会は現地開催とオンデマンド配信のweb開催を併せたハイブリッド形式で開催いたしますので、状況に応じてご都合に合った形式でご参加いただけましたら幸いに存じます。また、大変残念ながら「密」を避けるために会員懇親会は中止といたしますが、ご参加の皆様への還元を図るべく一般演題の各群や学生・研修医セッションに座長賞を設け、優秀な発表をされた演者を表彰させていただきます。

 日本頭頸部外科学会は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う全ての領域の疾患の外科的医療の発展に資することを目的としていますが、同時に頭頸部がん専門医制度を擁しています。また、今後の耳鼻咽喉科・頭頸部外科の発展のためには、他診療科との境界領域において特に外科的医療に関するプレゼンスをより一層高める必要があります。こうしたことから本学術講演会では、「教育セミナー」は主要な手術を網羅してそのエッセンスを凝縮するとともに、若手医師に積極的に境界領域に取り組んでもらいたいという思いを込めた構成としています。また、本学術講演会のテーマを『外科医療の最適化』と定め、個々の患者にとって最適な手術とはいかなるものかという視点で、各分野の中堅医師、そして頭頸部がん専門医に有意義な情報を提供するよう「シンポジウム」を企画いたしました。「パネルディスカッション」は『手術手技の伝承-師匠の目線、弟子の目線-』とし、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の継続的発展において最重要課題である人材育成について、手術手技を切り口として指導医と被指導医のペアに紐解いていただきます。「臨床研究セミナー」は大阪大学の北村哲久先生がご担当されますが、臨床研究へ興味がある方は是非ご聴講ください。非常に熱い有意義なご講演となることをお約束いたします。更に、例年開催の「頸部超音波ハンズオンセミナー」に加え「電気メスハンズオンセミナー」もご用意しています。日頃何気なく使っている電気メスに対する理解を深め、より有効な使い方をマスターする上でまたとない機会になるものと思われます。一方、「特別講演」は国産コロナワクチンの開発に取り組むアンジェス株式会社の創業者であり、2025大阪関西万博大阪府市パビリオン総合プロデューサーでもある大阪大学の森下竜一教授にお願いしています。また、「共通講習(感染対策)」では国立国際医療研究センターから大阪大学に転じられた忽那賢志教授に新型コロナウイルス感染症についてご講演いただきますので、是非楽しみにしていただければと思います。

 このように本学術講演会のプログラムは大変充実した内容となっています。日常臨床に活きる知識を拡げ深め、そしてスキルをアップする上で本学術講演会が非常に有意義であることは請け合いですので、どうか奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます。

(令和4年1月記す)

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