ご挨拶
- 第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
- 大会長 芳賀 信彦
国立障害者リハビリテーションセンター総長 / 東京大学名誉教授
この度、第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会を2023年9月2日(土)~3日(日)の日程で開催させていただくことになりました。私は現在、国立障害者リハビリテーションセンターに勤務していますが、本学術大会は2021年3月まで勤務していた東京大学医学部附属病院リハビリテーション部門、並びに2021年4月に同附属病院に設立された摂食嚥下センターが中心となり、他施設の専門家の先生方にもご協力いただいて準備を進めています。開催形式は、2020年4月にオープンしたパシフィコ横浜ノースでの対面開催を中心に、オンデマンド配信を併用する予定です。
今回の学術集会のテーマは「摂食嚥下リハビリテーションと多様性」としました。私は日頃から、リハビリテーション医療の実践は応用問題に取り組むことであると思っています。対象者は複数の障害をもつことが多く、対象者により社会的な背景が異なり、したがって治療の目標も異なります。このような多様性のある障害に取り組むには、「多様な」眼で観察し意見を交わすことが重要で、これにより成績が向上します。摂食嚥下リハビリテーションでも多様性を意識した診療が、患者、障害者にとってより良い結果、すなわちQOLの向上につながることを期待したいと思います。
2022年6月に主催した第59回日本リハビリテーション医学会学術集会の際にも述べましたが、私は医学系の学術集会には、研究成果を発表する晴れ舞台としての場、講演やワークショップ等を通じて知識や技能を身につける場、他分野の医療者・研究者を含む多くの人との交流の場、という3つの「場」があると考えており、自分自身も今まで多くの場を通じて知識と経験を積み重ねてくることができました。今回の学術大会でも、全ての参加者にこの3つの「場」を提供できるように準備を進めます。
ウクライナに対するロシアの軍事侵攻という、世界平和に重大な影響を及ぼし得る事態が2022年2月末に生じ、解決の糸口が見えない状況が続いています。また2020年3月にWHOがパンデミックを宣言した新型コロナウイルスも出口が見えず、2022年8月には世界の感染者数が6億人を超えました。このような状況の中で、皆様は日々の診療、研究を進められていると思います。その成果を第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会という「場」で是非発表し、参加者と共有して下さい。ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
2022年9月