会長挨拶
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第126回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会会長
福井大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科学教授
藤枝 重治
この度、第126回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会を福井大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室が担当させていただくこととなりました。会期は2025年5月27日から30日、会場はパシフィコ横浜ノースです。教室にとりましては、初の栄誉であり、新設医科大学として初めて担当させていただきます。本総会・学術講演会を実り多いものとすべく教室員が一丸となり、鋭意準備を進めております。
宿題報告は、本間明宏教授(北海道大学)が「鼻副鼻腔がん治療の新時代」について、池園哲郎教授(埼玉医科大学)が「Cochlin-tomoprotein(CTP)が切り拓く難聴,めまい診療の未来」について、ご講演されます。臨床講演では、鈴木幹男教授(琉球大学)が「耳鼻咽喉科疾患におけるヒトパピローマウイルス感染の多様性と治療戦略」について、曾根三千彦(名古屋大学)が「画像が解き明かす内耳疾患の新展開」についてそれぞれご講演されます。いずれも各先生方が、長年にわたり研究し成果をあげられた内容であり、教室の集大成を意味するご講演であります。宿題報告、臨床報告は例年、講演者がかなりの緊張感を感じながら発表されます。できれば会場に来られたほとんどの先生方に現地の張り詰めた雰囲気を感じていただきながら、ご聴講いただければと思います。
今回、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会を福井で行うことは、施設の都合上不可能でした。そこでこの5年間、ずっと西日本で開催されていたこともあり、関東のパシフィコ横浜ノースでの開催といたしました。福井は恐竜王国、福井県が率先して、恐竜を前面に、観光誘致をしております。これは福井県で初めていくつかの恐竜化石が発掘され、フクイザウルス、フクイラプトルなどフクイの名を冠した名称がつけられているからです。そのため令和5年に当教室が主催した学会では、恐竜にちなんで、「発掘」をテーマとしました。福井から恐竜がSHINKAした不死鳥(フェニックス)となって横浜に降り立つイメージをポスターに記載しました。不死鳥は福井市のシンボルでもあります。
SHINKAには一層優れたものに発展する進化、理解を深める深化、本当の値打ちを発揮する真価、自分自身のレベルアップにかかわる新しい言葉・新化、火のように激しく燃え立つ心火、神のような偉大な徳化である神化、本物と偽物を示す真仮等、多くの意味合いがあります。どうぞこの学会でご自分のSHINKAを見つけていただきたいと思います。
特別講演は、我々の教室が常に考えている基礎研究の成果から臨床応用へ、これを現在日本で最も実現されている天谷雅行教授(慶應義塾大学皮膚科学教授)に「皮膚免疫疾患の未来を紐解く―基礎研究から臨床への架け橋」のタイトルでご講演をいただきます。これはAMED免疫アレルギー実用化事業において非常に高い評価をうけている課題で、我々が目標にすべき内容です。一方、福井県由来の講演として小林快次教授(北海道大学総合博物館教授)に「恐竜研究最前線in 2025 : 恐竜からのメッセージ」をご講演いただきます。小林教授は、福井県生まれ、大学進学で福井県から横浜に出られてすぐにアメリカに留学され、その後、福井で発掘されたフクイサウルスを含め、世界各地で多くの恐竜の発掘を手掛けられています。福井県立恐竜博物館の設立にも携わっておられ、現在では、ダイナソー小林の愛称で子供たちにも大人気の恐竜学者であられます。
シンポジウムは7企画、うち2つは他科との合同シンポジウムです。パネルディスカッションは、4企画です。International Symposiumは、American Academy of Otolaryngology-Head and Neck SurgeryとConfederation of European Otorhinolaryngology-Head and Neck Surgeryとのジョイントプログラム、好酸球性副鼻腔炎に関するASPIRE事業によるInternational Symposium、Rhinology-international Symposiumの4企画です。教育講演7企画、8つの手術セミナー、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの7種類の未来ビジョン、3つの共通講習です。今回は国際貢献を特色としており、東南アジアを中心に、40歳以下70名をトラベルグラントで招待し、国際交流を行います。昨年同様、各大学から英語での講演(International Session)を募り、トラベルグラントの先生方と同じセッションで発表し、ともに勉強していただきます。できれば学会第一日目に、学会場とは異なった場所で、海外70名の方および参加していただける日本人の先生方で交流会を開きたいと考えています。
新型コロナの影響もほとんどなくなり、以前のように学会の賑やかさが戻ってまいりました。学会を楽しんでいただけるように、15時からはハッピーアワーを設け、福井の地ビールを楽しんでいただきたいと思います。全員懇親会の前には、日耳鼻からのACジャパン広告「よく聞こえません。もう一回」の往年のアイドルが学会場に来ていただける予定です。どうぞご期待ください。懇親会では、日本一と自負する福井の端麗で上品な日本酒をたっぷりご用意いたしますので、お楽しみください。